修士課程 「医学会奨励賞」受賞者インタビュー

 2022年6月18日(土)に開催された欧洲杯比赛投注_欧洲杯预选赛-五大联赛直播@医学会総会にて、「医学会奨励賞」を受賞した修士課程修了者2名が、受賞講演を行いました。修士課程の大学院生が本学でどのように学び、どのような研究をしているのか、インタビューしました。

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山中 喜晃さん

山中 喜晃さん(令和3年度分子病理学分野修士課程修了


「筋萎縮性側索硬化症の病態を模倣する化学的にオリゴマー状態を誘導可能なTDP-43制御システムの樹立」

Q 医学奨励賞を受賞した研究内容を教えてください。(研究に至った経緯、研究のポイントなど)

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は運動神経が障害され、筋肉の萎縮や筋力低下が起こり、発症から35年で死亡する神経変性疾患です。ALSの発症機構は未だ不明であり効果的な治療法も存在しませんが、ALS患者の約9割で通常は核に存在するTDP43の細胞質での封入体が認められており病態の根本に関わっているといわれています。そこで私はTDP43凝集体形成機構を解明することをテーマに研究を行うことにしました。このメカニズムを解明するため、今回小化合物により凝集体形成するTDP43を開発しました。小化合物により誘導されたTDP43凝集体はALS患者に見られるTDP43封入体のいくつかの特徴を示した事から病態を模倣してる可能性が示唆されました。また今回作成したTDP43TDP43の細胞質での凝集体形成におけるTDP43内のいくつかのドメインの役割も明らかにする事ができました。現在今回作出したTDP43を用いてTDP43の細胞質凝集体形成機構の探究を行なっています。

Q 本学の修士課程を志望したきっかけは何ですか?

大学4年生から本学の研究室で研究を行うなかで、本学でなら修士課程に進みしっかりとした成果を残せる研究が行えると感じました。他の大学に比べ学生がそこまで多くなく、しっかりと指導教官のもと自身の研究を集中して行える環境であると感じたので志望しました。また、研究者として働く先生方が多い中に身を置くことで研究だけでなく自身が成長できると思いました。

Q 本学で学んでみてどうでしたか?特によかった点を教えてください。

良かったことは自身のやりたい研究を集中して行えることです指導教官と密接にコミュニケーションを取りながら自身の研究を自分で考えながら進めていき、やりたい事など提案すればやらせて頂くことができました。また先生が研究室に多くいらっしゃったのでわからないことがあれば気軽に相談することができとても研究しやすい環境でした。自身のやりたい研究を主体的に行いたい人にはとてもいい研究環境だと思います。

Q 困ったこと、大変だったことはありましたか?そのときどのように乗り越えましたか?

研究室に入って最初の頃は大変でした。

知識も全然ないので自分で考えて主体的に研究を行えず、苦しみました。また、研究室も先生が多かったので環境面でも苦労しました。そのため最初は多くの論文を読んだり、関連知識を得ていくことで次第に自分の中で研究に対する考えも浮かんでくるようになりました。環境面ではできるだけ多くの先生方と世間話から研究の話まで積極的に自ら行うことでコミュニケーションを取りやすい環境作りができました

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小野 佳那さん

小野 佳那さん(令和3年度分子病理学分野修士課程修了)


「DICER1症候群モデルマウスにおける肝疾患に対するmiRNA補充療法の検討」

Q 医学奨励賞を受賞した研究内容を教えてください。(研究に至った経緯、研究のポイントなど)

DICER1症候群は、DICER1遺伝子の変異を原因とし、小児期から成人期にかけて様々な臓器で悪性および良性腫瘍を発生する腫瘍素因症候群です。発症の原因やそのメカニズムなどまだ明らかでないことも多く、当研究室にて開発されたDICER1症候群のモデル細胞やモデルマウスを用いてこれまで研究を進めてきました。今回の研究では、DICER1症候群の中でも近年特に注目されているD肝臓腫瘍におけるDICER1遺伝子変異について、その新規治療法の開発に向けた補充療法の検討と解析を重ねてきました。

当研究室で作製した肝臓特異的DICER1変異体発現マウスは、DICER1遺伝子変異が報告されている肝細胞癌、肝間葉系過誤腫および嚢胞性肝腫瘍を再現するマウスモデルとして有用であり、DICER1原因の1つとして考えられるmiR-122-5pの欠失を恒常的に補充するために、DICER1変異体でもmiR-122-5pを生成できるSwapped pri-miR-122を考案しました。

Q 本学の修士課程を志望したきっかけは何ですか?

きっかけは、東京薬科大学の3年生の時に分子病理学分野の黒田教授の特別講義を受講したことです。もとよりがん治療や遺伝性疾患に関して特に興味があり、大学院進学を検討していた際に、教授の研究のお話や研究に対する熱意を聞き、ぜひ東京医大で学びたいという気持ちが強くなりました

Q 本学で学んでみてどうでしたか?特によかった点を教えてください。

生命科学の基礎的な知識から新規治療法の開発まで、最先端の橋渡し研究の一連を学ぶことができる点です。また、私は医学部特有の患者さんの存在を身近に感じながら研究を学べる点も大きく、医学研究において最も重要なことの一つである高い倫理観を養い、それらを日々のモチベーションにもつなげることができる環境があると思います。教授をはじめ多くの先生方から直接ご指導いただける環境も大きな魅力です

Q 困ったこと、大変だったことはありましたか?そのときどのように乗り越えましたか?

私が最も大切だと思うことは、一人で抱え込まないことです。

研究で結果が思うように出ないことが続いた時など、それを一人の力で解決することは難しいことが多く、周りの人に相談したり客観的な視点からのアドバイスを頂くことが一早い問題解決に繋がると私は思います。また、失敗を隠さないことも研究をする上で重要です。良い報告とは違い、失敗やトラブルは隠したくなる気持ちが生じるかもしれませんが、そのような時こそ、先生方や先輩方に報告することで、失敗したデータものちに活かすことができます。

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